SAKE ・ 酵母と水

酵母と水が、日本酒の香りと味をつくる

同じ米でも、どの酵母で醸し、どんな水で仕込むかで、香りも骨格も変わります。米に隠れがちな、もう二人の主役の話です。

SAKE / 約13分で読めます / 2026

日本酒というと、多くの人はまず米を思い浮かべます。山田錦や五百万石といった酒米の名前や、どこまで磨いたかを示す精米歩合が、最初に頭に浮かびます。たしかに米は大切です。ですが、同じ米、同じ磨き具合でも、出来上がるお酒の香りや味わいはずいぶん変わります。その差をつくっているのが、この記事で取り上げる酵母です。

酵母は、目に見えないくらい小さな生きものです。米からできた糖を食べてアルコールに変えながら、りんごやバナナを思わせる香りもつくり出します。水のほうは、出来上がったお酒のおよそ8割を占める、いちばん量の多い原料です。どちらも普段は米の陰に隠れがちですが、味の設計図を握っているのは、むしろこの二つと言ってもいいくらいです。

本記事は確認できた事実を土台に、酵母が何をしているのか、フルーティな香りはどこから来るのか、水の硬さで味がどう変わるのかを、順を追ってやさしく整理します。最後に、酵母と水の個性がはっきり表れた、日本で買える定番8本もご紹介します。


01 ・ YEAST

酵母は、お酒の中で何をしているのか

酵母のいちばん大きな仕事は、糖をアルコールと炭酸ガスに変えることです。これを発酵と呼びます。ただ、米そのものには糖がほとんどありません。米の主成分はデンプンだからです。そこで登場するのが麹(こうじ)です。麹がつくる酵素という道具がデンプンを糖に分解し、その糖を酵母がアルコールに変えます。

おもしろいのは、この二つの働きが一つのタンクの中で同時に進むことです。麹が糖をつくる「糖化」と、酵母がアルコールをつくる「発酵」が並行して起こるので、これを並行複発酵(へいこうふくはっこう)と言います。糖ができるそばから酵母が消費していくため、発酵がじわじわと長く続き、醸造酒としては高めのアルコール分(もろみの段階で20%前後まで)に届きます。ワインやビールにはない、日本酒ならではの仕組みです。

そしてもう一つ、酵母は発酵と一緒に香りの成分もつくります。フルーティな吟醸香もここから生まれますが、その話は次の章にゆずります。ここではまず、その香りをつくる酵母たちが、どう整えられてきたのかを見ていきます。

番号で呼ばれる「きょうかい酵母」

酒蔵で広く使われている酵母に、きょうかい酵母があります。公益財団法人の日本醸造協会が、優れたお酒から取り出して純粋に育てた酵母を、全国の蔵に頒布(配布)しているものです。品質と造りを安定させるための仕組みで、協会がすすめる正式な書き方はひらがなの「きょうかい酵母」、番号は「きょうかい6号」のように表します。「協会酵母」と書かれることも多くあります。

歴史をたどると、1906年(明治39年)に神戸・灘の「櫻正宗(さくらまさむね)」のお酒から酵母を取り出したのが出発点とされます。これがのちの「きょうかい1号」で、番号を付けての本格的な頒布が始まったのは1917年(大正6年)からです。分離した年と、番号を付けて配り始めた年が違う点は、覚えておくと混乱しません。1号は1917年から1935年まで配られました。

その後、各地の名酒からすぐれた酵母が選ばれ、番号が付けられていきました。番号が若いほど古い酵母です。代表的なものを挙げます。

番号のなかには、末尾に「01」が付くものがあります。601号、701号、901号のような形です。これは泡なし酵母という意味で、発酵中に高い泡(高泡)を立てにくい性質に変えた株です。性質はもとの番号とほぼ同じですが、泡が少ない分だけタンクを大きく使え、泡の番をする手間も省けます。香りとは別の、造りやすさのための工夫です。


02 ・ AROMA

吟醸香の正体は、二つの香り成分

吟醸酒や大吟醸酒の、りんごやバナナを思わせるフルーティな香りを吟醸香と呼びます。この香りの主役は、カプロン酸エチル酢酸イソアミルという二つの成分です。どちらもエステルという種類の香り成分で、発酵の最中に酵母がアルコールと一緒につくり出します。

この二つは、酵母の中でできる道すじが違います。カプロン酸エチルは酵母が脂肪酸をつくる流れから生まれ、酢酸イソアミルは米のたんぱく質に由来するアミノ酸の流れから生まれます。出発点が違うので、香りのタイプも別ものになります。りんご系のカプロン酸エチル、バナナ系の酢酸イソアミル、と覚えておくと便利です。

おどろくのは、その量です。カプロン酸エチルは、清酒の中で1リットルあたり約0.12ミリグラムという、ごくわずかな濃度から香りを感じ始めるとされます。ほんのわずかな量が、お酒全体の香りの印象を大きく左右するわけです。

香りを決めているのは、酵母

ここが大切な点です。吟醸香は酵母がつくるので、どの酵母を選ぶかで香りの高さやタイプがほぼ決まります。同じ米、同じ造りでも、酵母を替えれば香りの出方が変わります。そのため、香り成分を多くつくる酵母が、長い年月をかけて選び育てられてきました。

その到達点のひとつが、きょうかい1801号です。2006年(平成18年)に実用化された泡なし酵母で、華やかなカプロン酸エチルをたくさん出しながら、雑味のもとになりやすい成分は少なく、発酵力も強いという、いいとこ取りの株です。香りを多く出す酵母と、発酵力の強い酵母を掛け合わせた交配株と言われます。近年の全国新酒鑑評会では、金賞をねらう蔵の多くがこの酵母を使うようになり、出品酒のかなりの割合を占めるとされます。

香り高い酵母は一足飛びにできたわけではなく、14号、1601号、1701号と段階を踏んで開発されてきました。カプロン酸エチルを強く出せるようにしたり、それに発酵力を足したりと、世代を追うごとに「香りの高さ」と「扱いやすさ」を両立する方向へ進んできた流れがあります。

いっぽうで、香りをあえて控えめにする酵母もあります。先に挙げた6号はおだやかで澄んだ香りと旨味のある酒に向き、7号はバランスの良い標準型です。華やかに香らせたいのか、味やバランスで聴かせたいのか。その方向を、蔵は酵母選びで決めているのです。

もう一つ、香りには発酵の温度も効いてきます。吟醸造りで低い温度でゆっくり発酵させるのは、揮発しやすい香り成分をもろみの中に閉じ込め、酵母が香りをつくりやすくするためです。さらに、月桂冠の研究では、アルコール分が低いお酒ほど香りを強く感じることが分かっています。とくに酢酸イソアミルのバナナ様の香りはその影響を受けやすく、近年の低アルコール吟醸が「よく香る」理由の一つになっています。


03 ・ VARIETY

花や土地、蔵から生まれる酵母

酵母はきょうかい酵母だけではありません。近年は、由来のユニークな酵母が各地で使われています。ここでは代表的な三つのタイプを見ていきます。

花から生まれた酵母(花酵母)

花酵母は、自然に咲く花に付いていた酵母を採り、日本酒造りに耐えられる優れた株だけを取り出して純粋に育てたものです。東京農業大学短期大学部の中田久保(なかた・ひさやす)教授が、長い探索のすえに分離の方法を確立しました。ナデシコ、ヒマワリ、サクラ、ベゴニアなど、10種類以上の花から酵母が取り出されています。

ここで大切な注意があります。花酵母を使っても、そのお酒がその花の香りになるわけではありません。花はあくまで「酵母を見つけた場所」で、香りは酵母のはたらきから生まれます。たとえばシャクナゲ由来の酵母はバナナ様の香りを出すとされますが、それはシャクナゲの匂いではなく、酵母の代謝によるものです。ここを取り違えると、花酵母を誤解してしまいます。

花酵母を扱う研究会は2001年に前身が生まれ、2003年に東京農大花酵母研究会として発足しました。実用化されているのは16種類ほどとされます。茨城の来福酒造のように、ナデシコ、ベゴニア、シャクナゲなど花ごとにお酒を造り分けている蔵もあります。

その土地のための酵母(地域酵母)

県などの公的な研究機関が、その土地の酒質に合わせて開発・配布している酵母を地域酵母と呼びます。有名なのが静岡酵母です。静岡県の公設試験機関で、河村伝兵衛(かわむら・でんべえ)氏を中心に、華やかできれいで、しかもまるみのある酒質をめざして開発されました。その代表株は、酢酸イソアミル系のメロンやバナナを思わせる香りが持ち味です。1986年(昭和61年)の全国新酒鑑評会では、静岡県の出品21蔵のうち17蔵が入賞し、うち10蔵が金賞という好成績を収め、それまで無名に近かった静岡の日本酒を一躍有名にしました。

山形県には、県産の酒米「出羽燦々(でわさんさん)」と山形酵母、県開発の麹菌などをそろえて造る県独自の認証があります。福島県は「うつくしま夢酵母」を1991年(平成3年)に開発し、県の技術支援とあわせて、全国新酒鑑評会の金賞受賞数で連続日本一を重ねたことで知られます。地域酵母は、その土地全体の酒質と評価を底上げする力を持っています。

蔵に棲みつく酵母と、生酛・山廃

三つめは、蔵そのものに棲みついた蔵付き酵母です。ここで、生酛(きもと)や山廃(やまはい)という言葉とあわせて、よくある誤解を一つほどいておきます。

生酛や山廃は、酒母(しゅぼ。酵母をたくさん育てる、いわば酵母の苗床)を昔ながらのやり方でつくる方法です。この造りでは、まず水に含まれる成分を出発点に、硝酸還元菌、続いて乳酸菌といった微生物が順番にはたらき、乳酸をつくり出します。酸の力で雑菌や弱い酵母がふるい落とされ、酸に強い酵母だけが元気に増えていきます。微生物が順番に入れ替わっていく造りです。こうした蔵付きの微生物は、空気中だけでなく、木の道具にも棲んでいます。菊正宗の研究では、生酛の乳酸菌が「半切桶(はんぎりおけ)」という木桶に潜んでいることが確かめられています。

ここで大事な点があります。生酛・山廃が保証しているのは、あくまで「微生物の力で乳酸を得た酒母」までです。「蔵付きの野生酵母で発酵させること」までを保証するわけではありません。じっさい、現代の生酛・山廃の多くは、きょうかい酵母などの純粋培養した酵母を加えて仕込んでいます。そのほうが発酵が安定し、香りも設計しやすいからです。蔵付きの酵母だけで醸す「酵母無添加」は、手間がかかるため少数派です。「生酛・山廃イコール野生の蔵付き酵母」と早合点しないようにしたいところです。酒母の内訳を見ると、発酵を早める速醸系がおよそ9割を占め、山廃が約9%、生酛は約1%ほどとされます(いずれも概数です)。少数ですが、その個性を求めて取り組む蔵は増えてきています。

なお、「花酵母」「地域酵母」「静岡酵母」や「生酛」「山廃」は、法律で細かく定義された言葉ではなく、業界や蔵が任意で表示しているものです。吟醸や純米といった特定名称とは別の情報として切り分けておくと、頭が混乱しません。


04 ・ WATER

仕込み水が、味の骨格をつくる

もう一つの主役が水です。出来上がった日本酒は、およそ8割が水でできています。米や米麹と並ぶ主原料で、酒質を大きく左右します。しかも、酒造りに使う水の総量は、洗米や道具の洗浄なども含めると米の重さの約50倍にのぼります。飲む一杯のはるか手前から、お酒は大量の水に支えられているわけです。

水の硬さで、味の輪郭が変わる

水の性質を語るときによく出てくるのが硬度です。これは水1リットルに含まれるカルシウムとマグネシウムの量の目安で、世界保健機関の区分では、硬度60未満が軟水、60〜120が中硬水、120〜180が硬水、180以上が非常な硬水とされます。日本の水は、世界的に見ると軟水寄りです。

この硬さが、味の傾向に効いてきます。ミネラルの多い硬水は酵母の栄養が豊富で発酵が活発に進み、輪郭のはっきりした、キレのある力強いお酒になりやすいと言われます。逆にミネラルの少ない軟水は発酵がゆっくり進み、口あたりのやわらかいお酒になりやすい傾向があります。

酵母が喜ぶ成分、嫌う成分

水に含まれる成分にも、酵母にとっての善し悪しがあります。カリウム、リン、マグネシウムは酵母の生育と発酵に欠かせない栄養で、これらが豊富だと発酵が旺盛になります。

逆に、蔵が徹底して避ける成分が鉄とマンガンです。鉄が多いとお酒が褐色っぽく変色し、香りも損なわれます。マンガンは光に反応してお酒の劣化を早めます。酒造用水の目安は鉄・マンガンともに、水1リットルあたりおよそ0.02ミリグラム以下(できれば検出されないのが望ましい)とされ、これは水道水の基準よりずっと厳しい値です。蔵は活性炭やろ過で鉄・マンガンをていねいに取り除いてから仕込みます。

灘の宮水と、伏見の水

水の個性を語るとき、必ず登場するのが灘(なだ)の宮水(みやみず)です。硬度100を超える中硬水で、日本の水道水(おおむね50前後)より硬めです。リン、カリウム、カルシウムが多く、お酒を傷める鉄分がほとんど含まれないのが特徴です。栄養が多く発酵が活発に進むため、酸のしっかりした力強い辛口になりやすく、これが伝統的に「灘の男酒(おとこざけ)」と呼ばれてきました。宮水は天保11年(1840年)、灘・西宮の酒造家、山邑太左衛門(やまむら・たざえもん)が、同じ造りでも西宮の井戸水で仕込むとお酒が良くなることを見抜いて広めたと伝わります。

いっぽう京都の伏見(ふしみ)の水は、カルシウムやマグネシウムをほどよく含む中硬水で、宮水よりは軟らかめです。発酵がおだやかに進むため、酸が少なくきめ細かい淡麗なお酒になりやすく、力強い「男酒」に対して「伏見の女酒(おんなざけ)」と呼ばれてきました。月桂冠などが伏見を代表する蔵です。伏見の御香宮神社(ごこうのみや)に湧く「御香水(ごこうすい)」は、環境省の名水百選(1985年選定)に選ばれた京都市内でただ一つの名水です。灘、伏見、そして広島の西条は「日本三大酒どころ」と呼ばれています。

ここで補足を一つ。「灘は硬水で辛口、伏見は軟水で甘口」という覚え方は分かりやすいのですが、厳密にはどちらも中硬水の範囲にあり、宮水がやや硬め、伏見がやや軟らかめという程度の差です。また「男酒・女酒」は江戸時代以来の伝統的なイメージで、いまは各蔵とも酵母や精米、技術で酒質を自在に調整しています。あくまで由来や傾向として受け取るのが正確です。

軟水でも、銘酒はできる

「発酵が進みにくい軟水は不利」と思われがちですが、その弱点を乗り越えた人がいます。広島・安芸津(あきつ)の三浦仙三郎(みうら・せんざぶろう)です。温度と衛生の管理を工夫して軟水でもしっかり発酵させる方法を編み出し、1898年に「軟水醸造法」を確立しました。これが吟醸酒造りの礎となり、三浦は「吟醸酒の父」と呼ばれます。広島の西条が銘醸地になった背景にも、この技術があります。硬水には硬水の、軟水には軟水の良さがあり、蔵はその水に合った造りで個性を引き出しているのです。


05 ・ TERROIR

酵母と水が、その蔵の味をつくる

ここまで見てきた酵母と水は、別々の話ではなく、組み合わさって一本のお酒の性格を決めています。同じ米を使っても、どの酵母で醸し、どんな水で仕込むかで、香りも味の骨格も変わります。ワインで土地の個性を「テロワール」と呼ぶように、日本酒にも土地ごとの酵母と水が生む個性があります。

おもしろいのは、有名なきょうかい酵母の多くが、もとは特定の蔵のお酒から生まれている点です。6号は秋田の新政、7号は長野・諏訪の真澄(宮坂醸造)、9号は熊本の香露から取り出されました。ある蔵の一本のお酒に宿っていた酵母が、全国に広まって、多くの銘柄の香りを支えています。こうして見ると、銘柄ごとの香りの個性が、共通の酵母を通じてつながっていることが分かります。

水もまた、動かせない土地の条件です。宮水が湧く灘だからこそ力強い辛口が生まれ、軟らかな水の新潟だからこそ透明感のある淡麗辛口が育ちました。良い地下水が湧く土地に酒どころが発達してきたのは、偶然ではありません。銘柄を選ぶとき、「この蔵はどんな水で、どんな酵母で造っているのか」を少し気にかけると、味の背景が立体的になります。次の章では、その個性がよく表れた8本を紹介します。


06 ・ EIGHT BOTTLES

酵母と水の個性が分かる、飲み比べ8本

ここからは、酵母や水の個性が味に表れた、日本で買える定番を8本ご紹介します。硬めの水の力強い酒と、軟らかな水の淡麗な酒を飲みくらべると、水の違いが実感できます。いずれも入手しやすい銘柄です。


おわりに

米ばかりに目が向きがちな日本酒ですが、香りをつくるのは酵母、味の骨格をつくるのは水です。ラベルに酵母の番号や「宮水仕込み」「軟水」といった言葉を見つけたら、それは味の予告編のようなものです。りんご系のカプロン酸エチルか、バナナ系の酢酸イソアミルか。硬めの水か軟らかな水か。そんな視点を一つ持つだけで、選ぶ楽しみがぐっと広がります。

飲みくらべてみて気づいたことは、ぜひ酒記に記録してみてください。「この銘柄は香りが高い」「こっちは水がきれいでキレる」といった短いメモでも、続けていくうちに、自分の好みが少しずつ分かってきます。記録が増えるほど、次に選ぶときの手がかりになります。


よくある質問(FAQ)

「きょうかい酵母」とは何ですか。
日本醸造協会が、優れたお酒から取り出して純粋に育て、全国の酒蔵に配っている清酒酵母です。品質と造りを安定させるための仕組みで、6号や7号のように番号で呼ばれます。正式な書き方はひらがなの「きょうかい酵母」で、「協会酵母」とも書かれます。
フルーティな吟醸香は、何の成分ですか。
主にカプロン酸エチルと酢酸イソアミルという二つの香り成分です。カプロン酸エチルはりんごやメロンを思わせる香り、酢酸イソアミルはバナナを思わせる香りで、どちらも発酵中に酵母がつくります。どの酵母を使うかで、香りの高さや方向が大きく変わります。
花酵母のお酒は、その花の香りがするのですか。
いいえ。花酵母は花から取り出した酵母のことで、花の香りを持ち込むわけではありません。香りはあくまで酵母のはたらきから生まれます。花は「酵母を見つけた場所」と考えると、イメージしやすくなります。
「男酒」「女酒」は、今も正しい区別ですか。
江戸時代以来の伝統的な呼び名で、灘の力強い辛口を男酒、伏見のなめらかな酒を女酒と呼んできました。ただし現在は各蔵とも酵母や精米、技術で酒質を自在に調整しているので、由来や傾向として受け取るのが正確です。
水の硬さで、本当に味は変わるのですか。
傾向としては変わると言われます。ミネラルの多い硬水は発酵が活発に進んでキレのある力強い酒になりやすく、ミネラルの少ない軟水は口あたりのやわらかい酒になりやすいとされます。灘の宮水と伏見の水、新潟の軟水を飲みくらべると、その違いを感じやすいです。

主な参考・出典

  • 日本醸造協会「頒布酵母」「高エステル生成酵母」公式ページ
  • 月桂冠「日本酒の造り方」「女酒と男酒、軟水と硬水」/月桂冠総合研究所
  • 沢の鶴 酒みづき「灘の宮水とは」「仕込み水」「酵母のはたらき」
  • SAKE Street「きょうかい酵母とは」「日本酒の香りを学ぶ(吟醸香編)」「仕込み水について学ぼう」ほか
  • SAKETIMES「きょうかい酵母」「花酵母」ほか解説記事
  • KUBOTAYA(朝日酒造)「日本酒の吟醸香とは」「仕込み水とは」
  • 菊正宗酒造総合研究所「生酛の菌叢解析」ほか
  • 東京農大花酵母研究会/来福酒造 花酵母の紹介
  • 静岡県酒造組合・静岡県工業技術研究所/福島県酒造協同組合/山形県酒造組合
  • 環境省「名水百選」伏見の御香水/伏見酒造組合
  • 各蔵元公式(菊正宗・月桂冠・八海山・朝日酒造・旭酒造・宮坂醸造・賀茂鶴酒造・剣菱酒造)
  • Wikipedia「協会系酵母」「カプロン酸エチル」「三浦仙三郎」

本記事の銘柄情報や数値は執筆時点の公開情報にもとづきます。酵母の分離年や頒布年、水の硬度などは出典により多少の幅があります。お酒は20歳になってから、適量を楽しみましょう。

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