WINE ・ 自然派

自然派ワインとオレンジワイン入門

ビオ、ナチュール、オレンジ。よく聞くけれど曖昧な言葉を、やさしくほどきます。

ワイン / 約13分で読めます / 2026

「ビオ」「ナチュール」「オレンジ」といった言葉を、ワイン売り場やレストランのメニューで最近よく見かけます。でも正直、どう違うのか説明できない。そんな声をよく聞きます。似た響きの言葉が並んでいて、しかもお店によって使い方がまちまちなので、混乱してしまうのも無理はありません。

この記事では、まず言葉を一つずつ整理します。取り上げるのはオーガニック、ビオディナミ、ヴァン・ナチュール、リュット・レゾネの4つです。それぞれが「畑の話」なのか「造りの話」なのか、認証があるのかないのか、という切り口で並べ直すと、頭の中がずいぶんすっきりします。そのうえで、いま人気のオレンジワインとペットナットが何者なのか、家でどう楽しめばおいしいのか、最初に試したい8本まで、順番にご案内します。

本記事は確認できた事実を土台にしています。数字や制度には出典を添え、はっきり決まっていないことは「〜と言われる」と留保をつけて書きました。ワインの世界には「昔から広く言われているけれど、実は法律で決まっているわけではない」話がたくさんあります。そこを見分けられるようになると、選ぶのがぐっと楽しくなります。


01 ・ TERMS

まずは言葉を整理する

4つの言葉を「畑だけの話か、醸造まで含むか」「認証があるか、考え方だけか」で並べ替えると、初心者でも迷いにくくなります。順番に見ていきましょう。

オーガニック(有機栽培/ビオ)

まず畑での栽培方法を指す言葉です。合成農薬や除草剤、化学肥料を使わずにブドウを育てるのが有機栽培で、フランス語ではこれをビオと呼びます。日本語で「ビオワイン」と言うとき、この有機を指す場合と、自然派全般をなんとなく指す場合があって混ざりやすいので、まずは「ビオは有機のこと」と覚えておくと安全です。

ここで大事なのが「概念」と「認証」の違いです。有機栽培のやり方を守っていても、認証機関の審査を受けて認証を取らなければ、ラベルに「有機」「オーガニック」とは表示できません。認証には、EUの有機ロゴ(緑の葉のマーク)、米国のオーガニック認証、フランスや日本の有機認証(有機JASなど)があります。

EUでは2012年から、畑(有機栽培)だけでなく醸造工程まで基準に含めたオーガニックワインとして認証・表示ができるようになりました。根拠になったのは、2012年3月に採択され、同年8月に適用が始まったEUの施行規則(施行規則203/2012)です。それ以前は「有機栽培のブドウから造ったワイン」としか名乗れず、醸造には基準がありませんでした。

ここで一つ、初心者がつまずきやすいポイントがあります。「オーガニック」の意味は国によって違います。EUは酸化防止剤(亜硫酸)を低い上限内で使うことを認めていますが、米国のオーガニック認証は亜硫酸の添加そのものを認めません(添加ゼロ)。同じ「オーガニック」でも制度が違うので、輸入ワインを見るときは「どこの認証か」を意識すると誤解しにくくなります。EUの有機ワインの亜硫酸上限は、辛口の赤で1リットルあたりおよそ100ミリグラム、辛口の白やロゼで150ミリグラムが目安で、通常のワインより4分の1から3分の1ほど低い水準です(残糖量や版によって変わるので、あくまで目安です)。「無添加」ではなく「低添加」と覚えておくとよいと思います。

日本の制度も知っておくと役立ちます。2022年10月のJAS法改正で酒類が有機JAS規格の対象に加わり、経過措置を経て2025年10月からは、有機JAS認証を取り有機JASマークを付けないと「有機」「オーガニック」と表示できなくなりました。海外の有機認証と日本の有機JASは別の制度なので、国内で「有機」とうたうには有機JASの取得が必要です。

ビオディナミ(バイオダイナミック農法)

有機栽培をさらに一歩進めた考え方です。出発点は、思想家ルドルフ・シュタイナーが1924年に、当時のドイツ・シレジア地方のコーバーヴィッツで行った農業講義でした。畑や土壌、植物、家畜、そして宇宙のリズムまでを一つの生命体とみなし、化学肥料に頼らずに畑そのものの生命力を高めることを目指します。有機栽培をその土台に含んでいます。

特徴的なのが、牛の角などを使った独特の「調剤(プレパラート)」をごく微量だけ畑にまく点です。有名なのは、牛糞を詰めた牛の角を土に埋めて作る調剤500と、石英を詰めた角から作る調剤501です。さらに、マリア・トゥーンが体系化した「ビオディナミ暦(月の暦)」に従い、日を「根の日・花の日・果実の日・葉の日」に分けて、剪定や収穫などの作業日を選びます。

一つ正直にお伝えしておくと、こうした調剤や月の暦の効果は科学的に実証されたものではなく、あくまでそういう考え方に基づいて行われる農法だと言われます。「効く・効かない」を断定するものではない、と理解しておくのが安全です。ビオディナミにも第三者認証があり、代表格は1928年に商標登録されたデメターと、1995年にフランスでワインに特化して作られたビオディヴァンです。デメター基準の亜硫酸上限は、赤で1リットルあたりおよそ70ミリグラム、白やロゼで90ミリグラム程度が目安とされ、EUの有機よりさらに低い部類に入ります。

ヴァン・ナチュール(自然派ワイン)

ここが一番あいまいで、一番おもしろい言葉です。ヴァン・ナチュール(自然派ワイン)には、世界のどこにも法律上の定義がなく、公的な認証も原則ありません。志向としては、亜硫酸を最小限か無添加にして、畑やブドウに付いた自生(野生)酵母だけで発酵させ、補糖や清澄、濾過といった人の手を極力加えない、という方向を目指します。

定義がないぶん、造り手の姿勢や販売店の目利きに頼る部分が大きいのが、有機やビオディナミとの一番の違いです。この状況に対して、フランスでは2020年に任意の枠組みヴァン・メトード・ナチュールが生まれました。2019年10月に生産者らが組合を作って基準を定め、2020年3月にフランスの担当当局が拘束力のない意見の形でこの憲章を承認しました。

ここは誤解されやすいので丁寧に書きます。これはEUの有機ロゴのような公的認証ではなく、組合が定めた任意・私的な枠組みです。「フランス政府が自然派ワインを公式認証した」と言うと言いすぎになります。要件には、全量が有機栽培の認証ブドウを使う、手摘みで収穫する、自生酵母のみで発酵させる、醸造添加物を使わない、といった項目が並びます。ロゴは亜硫酸の量に応じて2種類あり、無添加ロゴは自然由来の亜硫酸が1リットルあたり最大20ミリグラムまで、添加ありロゴでも総亜硫酸は1リットルあたり30ミリグラムまでです。有機ワイン(赤で1リットルあたりおよそ100ミリグラム)と比べると、桁が一つ違う低さです。

リュット・レゾネ(減農薬)

直訳すると「理性的な闘い」です。病害虫が出たときだけ、必要最小限に絞って農薬を使い、予防のための一律散布は避ける、という栽培の考え方を指します。ただし守るべき明確な上限や第三者の検査はなく、生産者の自己申告にとどまります。とても難しい年(雨が多くて病気が出た年など)には、合成農薬の使用も許される柔軟さがあります。有機栽培(合成農薬は全面禁止で検査あり)とは、そこが違います。

4つを一枚で

「畑の厳しさ」でいえば、減農薬より有機、有機と同じかそれ以上にビオディナミが厳しい、という目安が成り立ちます。ただし自然派は「畑の認証の厳しさ」ではなく「醸造での介入の少なさ」という別の軸なので、この一直線の上には単純に並びません。実際には、多くの自然派の造り手が有機やビオディナミの栽培を土台にしつつ、醸造で無添加を目指す、という重なりがあります。


02 ・ ORANGE

オレンジワインとペットナット

白ブドウを赤のように造る

オレンジワインは、白ブドウを果皮や種ごと漬け込んで発酵させる「スキンコンタクト(醸し)」で造ります。ふつうの白ワインは果汁だけを発酵させますが、オレンジワインは皮を取り除かずに、果汁と数日から数か月いっしょに置きます。すると、赤ワインと同じように色素やタンニンが抽出され、白ワインにはない琥珀色や渋みが生まれます。だから「スキンコンタクト・ホワイトワイン」とも呼ばれます。一般には、最低でも1か月ほど果皮とともに置くことを一つの目安とする説明がよく見られます。

色は琥珀(アンバー)からオレンジ、黄金色まで幅があります。軽いタンニンによる渋みと骨格があり、ナッツやドライフルーツ、紅茶、はちみつのような複雑な香味を持つのが特徴です。白ワインの酸に、赤ワインのような渋みとコク、旨味までもが加わります。この二面性が、後で触れる温度やグラス、料理選びのポイントにつながります。

White vs Orange
白ワインとオレンジワインの違い
白ワインオレンジワイン
造り果汁だけを発酵果皮や種ごと漬けて発酵(醸し)
淡い黄〜黄金琥珀〜オレンジ
渋みほとんど無い軽い渋みと骨格
香味果実・花ナッツ・ドライフルーツ・紅茶・はちみつ
温度よく冷やす白より少し高め(10〜16度)
白ブドウを赤のように造るのがオレンジワイン。だから白の酸と赤の渋みが同居します。

古くて新しいお酒

ルーツはコーカサス地方のジョージア(旧グルジア)にあります。素焼きの甕「クヴェヴリ」を地中に埋めて醸す伝統で、この製法は2013年にユネスコの無形文化遺産に登録されました。コーカサスでのブドウ発酵の歴史は非常に古く、約8,000年前ともいわれる世界最古級の醸造文化です(考古学的な直接の証拠は年代に幅があるため、幅を持たせた表現にしています)。ジョージアでは今も「アンバーワイン(琥珀のワイン)」と呼ぶのが一般的です。

おもしろいのは、伝統そのものは数千年前なのに、「オレンジワイン」という英語の呼び名はごく新しいことです。この言葉は2004年に、英国のワイン輸入業者デヴィッド・ハーヴェイが広めたとされます。現代の再ブームは、イタリア北東部フリウリのオスラヴィア村で、ヨスコ・グラヴネルとスタンコ・ラディコンが1990年代半ばに牽引しました。グラヴネルは2000年にジョージアを訪ね、翌2001年にクヴェヴリへ全面的に切り替えたと伝えられています。

日本では、赤・白・ロゼに次ぐ「第4のワイン(4色目)」として紹介されることが多いです。ただしこれは色で数えた売り文句で、法律で定められた正式なカテゴリーではありません。日本の酒税法上は、赤や白と同じく品目としては「果実酒」に分類されます。

ペットナットという泡

もう一つ、自然派の売り場でよく見かけるのがペットナット(ペティヤン・ナチュレル)です。これは「メソッド・アンセストラル(先祖伝来の製法)」で造る自然発泡ワインを指します。一次発酵が終わりきる前に瓶詰めして、追加の酵母や糖を加えずに、残った糖を瓶の中で発酵させ切ります。そのとき生まれる炭酸ガスが、そのまま泡になります。追加のリキュールを入れて瓶内で二次発酵させるシャンパーニュより前からある、最古の発泡ワイン製法とされています。

ペットナットは無濾過で澱(おり)を含むため、うっすら濁っていることが多く、栓はビールのような王冠(クラウンキャップ)が典型です。泡はシャンパーニュより穏やかで、素朴でラフな味わいに仕上がります。ペットナットの名を最初に冠した原産地呼称は、2007年に制定されたフランス・ロワールの「モンルイ・ペティヤン・ナチュレル」で、シュナン・ブラン種を使います。なお、フランス最古の発泡ワインは南仏リムーの「ブランケット・ド・リムー」で、1531年にサン=ティレールのベネディクト会修道士が記録したと言われ、その先祖伝来製法版がペットナットの源流的な存在とされます。


03 ・ TASTE

味わいの特徴と、よくある誤解

「欠陥」か「個性」かは、グラデーション

自然派ワインを飲んで「なんだか変なにおいがする」と感じた経験のある方は、けっこう多いと思います。ここは白黒で割り切れない話なので、少し丁寧に説明します。じつは、同じ香りの成分が、量しだいで「個性」にも「欠陥」にもなります。

代表が還元臭です。原因は揮発性の硫黄化合物で、微量ならトロピカルフルーツやシトラス、ミネラル、スモークのような複雑さを与えます。ところが量が増えると、腐った卵や下水、ゴム、石鹸のような不快なにおいに変わります。同じ成分でも、濃度によって印象が正反対になるわけです。酸化防止剤を抑えた自然派やオレンジワインは、酸素を避けて造るぶん、開けたてに還元的な香りが出やすい傾向があります。

似た二面性を持つのが揮発酸(酢酸や酢酸エチル)とブレット香です。揮発酸は少量なら風味の要素ですが、多いと除光液や接着剤のようなにおいになります。ブレット香はブレタノミセスという酵母に由来し、馬小屋や燻製肉を思わせますが、ごく微量ならシラーなど一部の品種でスパイスやレザーの複雑さとして肯定的にとらえられることもあります。いずれも「程度問題」で、造り手の技術や衛生管理しだいで振れます。清潔な機器で丁寧に造られた自然派には強い異臭は出にくく、逆に悪い酵母が働くとリスクが勝ちます。つまり、当たり外れが生じうる前提で付き合うのが正直なところです。

にごり・泡・澱は劣化とは限らない

グラスの中がうっすら濁っていたり、澱が沈んでいたり、軽く泡立っていたりしても、多くは劣化ではありません。風味を残すために濾過をしない造り手が多く、その結果として澱や濁りが残ります。ペットナットは瓶の中で発酵を続ける造りなので、澱(役目を終えた酵母)を抜かず、パンや酵母のようなニュアンスと微発泡が出ます。しかも、炭酸ガスと澱には酸化を防ぐ働きがあり、亜硫酸を減らしたい造り手にとっては酸化対策の手段にもなっています。

亜硫酸をどう考えるか

亜硫酸は、酸化を防ぎ、好ましくない菌を抑えるために、ワインで長く使われてきました。これを減らしたり無添加にしたりすると、味が安定しにくく、温度変化に弱くなる面があります。温度が上がると酵母が再び活性化して味わいが変わり、まれに吹き出すこともあるため、通常のワイン以上に低温での保管が無難です。ただし「亜硫酸が少ないと必ず早く劣化する」とまでは言えません。しっかりした辛口で残糖がほとんどないものは再発酵しにくく、実際のリスクは造りや状態で幅があります。

もう一つ知っておくと安心なのが、「無添加」とうたう商品でも、裏ラベルに「酸化防止剤(亜硫酸塩)」と書かれることがある点です。これは、酵母が発酵中に自然に微量の亜硫酸を作るためで、表示があるからといって不誠実というわけではありません。日本では果実酒の亜硫酸の使用上限は1リットルあたり350ミリグラム(告示370号)で、亜硫酸を使った場合は表示が義務づけられています。

選び方の王道

味の当たり外れや状態は、ラベルだけからは読み取りにくいものです。そこで業界で定番とされるのが、信頼できるインポーター(輸入元)を軸にするという選び方です。自然派を専門に扱うインポーター(ヴィナイオータ、ラシーヌ、ヴォルテックスなど)は、現地の生産者と信頼関係を築き、温度管理をしたリーファーコンテナで輸入しています。好きなインポーターを一つ決めて取り扱いを追うと、外れが少なくなります。あわせて、詳しい酒販店で「すっきり系」「フルーティ」「個性派」といった好みを伝えて相談すると、失敗がぐっと減ります。


04 ・ AT HOME

家での楽しみ方

温度は「白より少し高め」

オレンジワインは、白ワインより少し高めの温度で出すのが基本です。冷やしすぎると渋み(タンニン)が際立ち、せっかくのボリューム感が楽しめません。目安として、軽めでフルーティなタイプは10〜12度、渋みやコクのしっかりしたタイプは12〜16度くらいです(媒体によって幅があるので目安として考えてください)。冷蔵庫でしっかり冷えている場合は、グラスに注いでから10分ほど置くと、渋みの角が取れて果実味や旨味が開きやすくなります。温度が上がると香りのふくらみが増し、渋みや酸のかどがやわらぎます。

グラスは「赤白の中間」で十分

オレンジワインは白でも赤でもない味わいなので、白ワイングラスと赤ワイングラスの中間くらいのボウルが合わせやすいとされます。専用のグラスを買いそろえる必要はなく、赤白兼用の万能型(ボウルは中くらい、口がややすぼまり、脚のついたもの)を1脚持っておくと実用的です。口がすぼまった形は立ち上る香りをグラスの上部に集めるので、複雑な香りを持つオレンジワインの個性を引き出しやすくなります。

開けたては少し待つ

抜栓した直後は、香りが閉じていたり、少し硬さを感じたりすることがあります。ゆっくりグラスを回して空気に触れさせると、徐々に本来の香りが開いてきます。特に酸化防止剤を抑えた自然派やオレンジワインは、開けたてに還元的な香りが出ることがありますが、しばらく置いたりデキャンタに移したりすると和らぐことが多いです。開けてすぐ「あれ」と思っても、あわてて捨てずに、まず少し時間を与えてみてください。

合わせる料理

オレンジワインは、白ワインの酸に赤ワインのような渋みとコク、旨味までもが加わるため、旨味の強い料理と好相性です。出汁や味噌、醤油、みりんといった発酵調味料や発酵食品ともよく合い、和食に寄り添います。渋みと旨味を併せ持つことから、カレーや生姜、ネギ、中華、オイスターソース系など、香りやスパイスの強い料理とも合わせやすいと言われます。これらは公的な基準ではなく、ソムリエや専門店が繰り返し薦めている相性なので、まずは気軽に試して、自分の好きな組み合わせを見つけるのがおすすめです。


05 ・ EIGHT BOTTLES

最初に飲み比べたい8本

ここでは、日本で手に入りやすく、自然派やオレンジ、オーガニックの入口になる実在の8本を紹介します。国産2本に、フランス・ジョージア・イタリアを織り交ぜ、赤・白泡・オレンジ・オーガニックがひととおり体験できるように選びました。価格はヴィンテージや為替、店舗で変わるので、買う前に各ショップでご確認ください。


おわりに

言葉を整理してみると、意外とシンプルだったのではないでしょうか。オーガニックは畑(とEUでは醸造)の認証を指し、ビオディナミはそこに思想を重ねた農法、ヴァン・ナチュールは醸造での介入を減らす考え方、リュット・レゾネは減農薬の姿勢を指します。オレンジワインは白ブドウを赤のように造ったお酒で、ペットナットは瓶の中で泡になった自然発泡ワインです。そう分かれば、売り場のラベルもぐっと読みやすくなります。

大切なのは、完璧に暗記することではなく、実際に飲んで自分の好みを知ることです。冷やしすぎないこと、開けたては少し待つこと、信頼できる売り手から選ぶこと。この3つを押さえるだけで、自然派やオレンジワインはずいぶん親しみやすくなります。

よくある質問(FAQ)

「自然派ワイン」と「オーガニックワイン」は同じ意味ですか。
別の言葉です。オーガニックは有機栽培(EUでは醸造も含む)を指し、公的な認証があります。自然派(ヴァン・ナチュール)は醸造での介入を最小にする考え方で、世界共通の法的定義や公的認証は原則ありません。多くの自然派は有機栽培を土台にしているので重なりますが、イコールではありません。
オレンジワインは白ワインですか、それとも別のお酒ですか。
原料は白ブドウですが、赤ワインのように果皮や種ごと漬け込んで造るため、白とは違う琥珀色と渋みが出ます。日本では赤・白・ロゼに次ぐ「第4のワイン」と紹介されることが多いです。ただしこれは色で数えた呼び方で、法律上は白や赤と同じく「果実酒」に分類されます。
にごっていたり、開けたてに変わったにおいがしたら不良品ですか。
多くの場合は不良品ではありません。にごりや澱、微発泡は、濾過をしない自然な造りの結果です。開けたての硫黄っぽい香り(還元臭)も、軽度なら少し空気に触れさせると和らぐことが多いです。ただし、除光液のような強い刺激臭がずっと消えないなど、明らかに度を越したものは劣化のことがあります。まずは時間を与えてみて、それでも厳しければ購入店に相談するのがよいと思います。
保存はどうすればいいですか。
亜硫酸を抑えたワインは温度変化に弱いものがあるので、冷蔵など低めの温度で立てて保管するのが無難です。開けた後は、澱が沈むよう立てておき、冷蔵庫で保存しましょう。飲むときにグラスへ注いで少し温度を戻すと、渋みの角が取れて飲みやすくなります。
最初の1本、どう選べば失敗しにくいですか。
信頼できるインポーター(輸入元)を軸に選ぶのが王道です。自然派専門のインポーターは温度管理をして輸入しているため、状態が安定しやすいです。あわせて、詳しい酒販店で「すっきり系がいい」「オレンジを試したい」など好みを伝えて相談すると、外れが減ります。この記事で紹介した8本のように、国産や手頃な価格のものから始めるのもおすすめです。

主な参考・出典

  • 欧州委員会プレスリリース、EUの有機ワイン醸造規則(施行規則203/2012)、有機農業団体による「EUの有機ワイン生産ルール」解説
  • ワイン専門メディアによる「オーガニックワインの定義は米国と欧州で異なる」解説
  • 国税庁「具体的な輸入業者が受ける影響と対処方針(令和5年10月)」「酒税法における酒類の分類及び定義」「酒類の安全性に関する資料(令和5年3月)」、農林水産省「有機食品の検査認証制度」、ジェトロ「有機食品の表示制度(日本)」
  • デメター・インターナショナル公式(沿革)、自然派・有機・ビオディナミワインの解説記事
  • ヴァン・メトード・ナチュール公式、ワイン専門誌デカンター、ワイン専門誌ワイン・エンスージアストの各報道(自然派ワインの公式な位置づけ/フランスの自然派認証)
  • ジャンシス・ロビンソン編『オックスフォード・コンパニオン・トゥ・ワイン』(リュット・レゾネ、ビオディナミの項)
  • オレンジワイン・リムーワイン・ペットナットに関する各百科事典項目、ワイン専門メディアの解説(クヴェヴリからグラスまで、ペットナット入門)
  • ワインの欠陥・オフフレーヴァーの解説、モトックスの各コラム(ナチュラルワイン/ペットナット/オレンジワインのキホン)
  • エノテカ(ソムリエ解説・ペアリング・グラス選び)、アカデミー・デュ・ヴァン(温度・グラス)、自然派ワイン専門店の解説(自然派ワイン/亜硫酸塩)
  • 各インポーター・生産者情報:野村ユニソン(マルセル・ラピエール)、ヴァンクロス(ストリ・マラニ)、アズマコーポレーション(アラン・ヴィニョ)、モトックス・日仏商事(デステザルグ)、ファインズ(ジェラール・ベルトラン)、はせがわ酒店・タケダワイナリー公式、ココ・ファーム・ワイナリー公式、トスカニー

本記事は一般的な情報提供を目的としたもので、価格・在庫・輸入状況は変わることがあります。制度や数値は執筆時点の資料に基づく目安です。お酒は20歳になってから、適量を楽しみましょう。

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